こんにちは、金育SEのまさ(@kinikuse)です。
突然ですが、
ESG分析って知ってますか?
最近、就職活動でも注目されている企業分析方法です。
もともとは投資家が利用している観点の1つで「持続的成長を遂げる企業を見分ける観点」と言われています。ただ、、その理念はとても共感できるものですが、投資家視点では微妙だと思っています。
むしろ労働者の立場から、企業分析する観点で使う方が有効という立場から、ESG分析について調べてみました。
ESG分析って何?
持続的に成長している企業が持つ3つの共通点のことを指します。具体的には、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス・企業統治)を指します。
そもそも会社は利益を追求するために存在します。でも利益だけだとダメなんですね。
例えば、、
- 工業排水を川へ垂れ流しす企業は5年後もありそうですか?
- 女性差別がひどい企業って人気無くなりそうですよね?
- 不正会計を見逃し続ける経営陣がいると潰れますよね?
こういった企業の財務諸表を見ると、短期的には売上や利益が高い可能性があります。
ただ、長期的な成長はしない企業なので投資するのはやめましょう、と言われています。
ESG投資額は非常に大きい
ESGは、日本ではテーマ投資(*)の一つと捉えられていますが、世界では重要なファクターの1つです。
2018年のデータではヨーロッパでは48.8%の資金がESG投資に向けられています。意外なことに、日本でも18.3%はESG投資です。
きっかけは、2006年に国連がPRI(責任投資原則)を提唱したことだと言われてます。「投資家の取るべき行動」を定義して、全世界の機関投資家へ発信しました。
日本で最大の機関投資家であるGPIF(年金基金)もこのPRIに署名していて、2017年からESG投資を開始しました。
投資マネーを集めるために、日本企業もESG情報の開示を進めています。
*:アクティブファンドでよく見られる投資方法。AI関連株を買う「グローバルAIファンド」やシルバー企業を対象とする「ニッセイ健康応援ファンド」などが代表的です。
就活・転職とESG分析
ESGの観点は投資家だけではなく、働く側の企業分析にも当てはまるはずです。
学生の就活でも、社会人の転職でも共通点はあって
「ブラック企業では働きたくない」
と全員が思っているはずです。
「ESGに力を入れていない企業=ブラック企業」とは言えませんが、力を入れているならブラック企業の可能性は低い気がします。
各企業は投資家のために財務諸表等のIR情報を公開しています。そこには財務情報の他にも「サステナビリティ(持続可能)」「非財務情報」といったキーワードでESG情報が開示されていることが多いです。
積極的に情報開示を行っている企業はESGに力を入れているため、長期的にみて潰れにくそうですね。
例1:花王のKirei Lifestyle
花王のESGは、生活者の持続可能なライフスタイルを送りたい
花王HPより
という思いや行動に応えることをめざしています。
花王ではKirei Lifestyleという言葉を掲げて、サステナビリティ経営を推進しているようです。
シャンプーなどは詰め替えパックの進化を勧めていましたが、根本的な問題を解決するために、100%リサイクル可能な素材の開発に取り組んでいます。
例2:スターバックスのストロー廃止
PLASTIC STRAWS TO BE REPLACED WITH NEW RECYCLABLE STRAWLESS LID AND ALTERNATIVE-MATERIAL STRAW OPTIONS
(プラスチックストローを、ストロー不要なフタか再利用可能なストローで代替します)
STARBUCK HPより
誰でも知ってるスターバックスもESG経営を進めてます。
世界中でプラスチック廃止に目が向けられている中、2020年までにストローを廃止する宣言を出していますね。この他にも、原料となるコーヒー豆の輸入元に倫理的な問題がないか審査するなど、色々やってます。
ESGって本当に意味あるの?
さて、ここまでがきれいごとの話でした。笑
具体例とかを出してみても、いまいち実感わかないんですよね。
今回かなりの企業のESG公表資料を見てみたんですが「ふーん」という情報が非常に多かったです。。。
ESGの問題点を調べてみました。
問題点1:定性評価なので企業間で比較できない
一番しっくり来たのはこの表現でした。
財務諸表は「営業利益」「当期純利益」などの標準化されたデータとして公表されています。
でもESG指標は、その観点やデータの集計方法が開示されていません。また各企業がいわば「勝手に」公表している点も微妙だなと感じました。
問題点2:優等生の東芝はガバガバナンスだった
2017年に問題になった東芝の不正会計問題がすべてを裏付けています。。
サステナビリティ(持続可能性)経営の世界的な指標であるダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス・ワールド(DJSI)に00年〜15年まで選ばれ続けていました。
なのに、ESG指標で評価されてたのにガバナンスが効いていないことを証明する事件を起こしました。。
これには理由があって、多くの指標の評価軸は「企業がESGに取り組む方針」を評価していて「ESGの実績」を見ているわけではなかったようです。
ESG指標を活用した投資はまだまだ難しそうですね。。
それでも就活・転職ではESGが活用できる理由
では労働者の立場から見るとどうでしょうか?
ESGの理念自体は評価できます。なのでESGへの施策が現実的で真剣に取り組んでいそうな企業を選ぶのはアリだと感じました。
気になる企業のIR資料を見てみると具体的な施策が書いてあります。企業によっては「明らかに文章だけESGに寄せただろ」ってのも多いです。一方で「これは本気でやってそうだなという施策」もありました。
ESG指標という外聞を気にした値ではなく、勤務先として企業を真剣に見る個人がESGの観点を持って企業分析するのは意味があると感じました。
就活や転職では給与や労働環境ばかりに目を向けてしまいがちですが、ESGの観点でもチラ見してみると面白い発見があるはずです。
その結果を踏まえて、人事担当者と話すときのネタにしても良いですね。
いかがでしたか?
最近では転職前提で働く人が多いので、持続的に成長する企業を見分ける必要はないのかもしれません。
でも20年後に潰れた企業でファーストキャリアを始めるよりも、存続してる企業の方が自慢できちゃうかもしれません。
企業分析の観点の1つに
ESGがあると幅が広がりますよ。
就活や転職で人生は終わりません。働いていく中で投資を始めるべき理由をお伝えします。
20代、30代のうちに投資を始めるべき理由は「複利」にあります。
なんで働くのか?生きてるだけでお金がかかるのも1つの理由です。主要なライフイベントでかかる金額知ってますか?
良い機会なので、私と一緒にお金の勉強を始めませんか。
まったり更新していくので、Twitter(@kinikuse)やFeedly, RSSに登録くださると幸いです。
まさ