育休取ってそろそろ1年。
飲み会で話題になったランキング1位はこちらの言葉でした。
男で育休取れるのすごいね
平成以前に子どもが産まれた方が言うのは分かります。そんな時代じゃなかったですもんね。
でも、30代以下の子が言うのはヤバい。令和の育休は「権利」なのに違和感ありすぎます。
そもそも子育てってクソ大変で、昔と違って親の支援も少ないのに、夫に育休取らないと言われたら女性も子供産みたくなくなると思うんですよね。現に私の友人はそう言ってる人が多いです…。
先日の飲み会で違和感バリバリ感じたので育休についての考えを吐きだします。(異論は認める)
育休は法律で決まってるので誰でも取得可能
飲み会で話した後輩曰く、パナ○ニックや大和○券は育休が取れない会社とのこと。でもそれは勘違い。
多くの人は理解していませんが、育休は育児介護休業法で明確に規定された労働者の「権利」です。逆に言えば育休が取れない会社があるなら違法です。
前述の遵法精神あふれる大企業は絶対に男性育休が取れます。「(うちの会社は)男性育休は取れない」は明確に間違いです。
正しい表現で言い直すなら「会社に忖度したいから男性育休が取れない」になります。
犠牲を払わないと男性育休が取りづらい
まぁそうは言っても、日本企業に「育休が取りづらい空気」が残念ながら残っているのは事実でしょう。
家庭を守るか仕事に出るかの二極化でしか社会システムが作られていないので、育休を取った人は性別に関係なく、働きづらさが残っています。
実際に私も育休を1年取っていますが、昇進が遅れるだろうと暗に…。妻も休業前は役付きでしたが、復職後は平社員として働くことになりました。
他にも一般的に言われる犠牲としてはこんなものがあります。
育休を取ることで会社員としてのキャリアを毀損してしまうのは日本の残念なところです。この犠牲は避けがたく、特に男性だと、育休を取らない選択をする人が特に多いです。
「誰に忖度したいか」は考えるべき
育休を検討するにあたって真剣に考えるべきポイントは「誰に忖度したいか」です。
会社に忖度して、業務に穴を開けない
「会社に忖度して業務に穴を開けない」のはある意味では正しい選択です。育児休業を取得しないことで引き継ぎなどが発生せずに現場へ迷惑をかけずにすみます。
ただ、育児から来る睡眠不足によって、現場に迷惑を掛ける可能性がある点は注意が必要です。夜泣きその他のサポートで帰宅後も出産前と同じように寝れるとは限りません。
業務に穴を開けないとはいえ、睡眠不足からパフォーマンスが落ちてしまい現場で迷惑を掛けるケースがあります。
家庭に忖度をして、睡眠時間を確保
「家庭に忖度をして夫婦の睡眠時間を確保する」のも正しい選択です。
個人的に夫婦育休の最も実利的なメリットは、睡眠時間が確保できることだと思ってます。寝不足さえなければ、夫婦で喧嘩することもなく、赤ちゃんにも全力の愛情を注げます。(このあたりは別記事に書きなぐっています。笑)
ただし、会社から良い顔をされることは少ないでしょう。
どちらを選ぶかは夫婦でよく話し合いたいですね。
子育てには2人分の労働が求められる
男性育休を取らずに、会社に忖度する決断をした場合、子育ての大半をパートナーに委ねることになります。
問題になるのは「子育てはどれくらい大変なのか?」
子育てをして初めて分かりましたが、新生児を、もっと言えば人間になりたての赤ちゃんを育てるのは本当に大変です。
ざっくり考えても新生児を育てるのは2人分の労働力が必要です。
生後まもなくは1日15回以上もおむつを替え、3時間おきにミルクを飲ませ、その度に抱っこで歩きながら寝かしつけが必要です。ミルクを飲ませるだけでも15分以上かかるし、寝かしつけも1日に10km 以上歩く日もありました。(実話)
SE風に子育てを定量化してみる
SE の文脈だと、ある人が1ヶ月働く仕事量を「1人月」という単位で表します。
新生児の頃は毎日20時間以上もお世話していました。1日8時間働くのが普通の労働量とすると、新生児期の子育ての労働量は2.2人月です。
子育ての労働量は月齢によって変化します。私の経験上はこんな感じです。
子育ての忙しさは、どの時期も1人でやる仕事量(=1.0人月)を超えます。
まとまって眠るようになってからハイハイ始まるまでの期間は楽になります。生後すぐに男性育休が優遇されてる(産後パパ育休)のはこういった背景もあるかもしれません。
夫婦で「3.2人分」働くのか考えるべし
で、話を戻します。
育休取らないと
どれくらい大変なの?
男性育休を取るかどうかは、次の2パターンのどちらを選ぶのかと同義です。
Aパターンは男性育休を取らない場合。最も忙しい新生児期には3.2人分の労働が発生します。(夫の本業1.0人月+育児2.2人月=3.2人月)
夫婦で明確に家事分担ができたとして、1人あたり1.6人分(=3.2÷2)のハードワークが必要です。実態としては負担はどちらかに偏ることになるでしょうね…
Bパターンは男性育休を取る場合。育児とだけ向き合えばよく、2人で2.2人分の労働しか発生しません。2人で分担しても1.1人分。少し残業があるくらいの労働量なので、心のゆとりもありつつ育児にコミットできるでしょう。
妻に8時間の残業を押し付ける人が多い?
ここでタイトルの話に繋がってきます。
「旦那が育児参加しない」というのはよく聞く話です。仮に新生児の面倒を妻に押し付けると、2.2人分の労働をさせるのと同じ。
言い換えれば、毎日8時間働いたあとに、追加で8時間以上の残業が発生することになります。
育休を取らなくても本業も育児も全力でやり抜く男性ももちろんいるでしょう。ただ、育児をジブンゴトとして捉えられないと…妻に毎日8時間以上の労働を押し付けることになるかもしれませんね。
筆者は男性育休を選びました
ちなみに、我が家は迷うことなくBの「子育ての2.2人月を夫婦でやりきる」を選びました!
…嘘です。
結構迷いました。笑
妊娠がわかった時期は、新プロジェクトの責任者の白羽の矢が立っていました。上司からもその相談がちょくちょく来ており、また、会社に忖度せずに打診を蹴って育休突入しちゃうと昇進に響きそうな雰囲気もありました…。
ただ、最終的に優先したかったのは、「生まれる子供を万全の準備で迎えたい」という家庭への忖度でした。復帰が迫る今でも選択に後悔はないので良い選択ができました。
結論→子供が欲しいならジブンゴトで考えて
ということで、色々と言いましたが言いたかったのは一つです。
「(夫側が)子供が欲しいなら、ジブンゴトとして男性育休取得を積極的に考えてほしい」
育児は想像以上に大変な労働です。育休取得を諦めるとしても、軽い気持ちではなく、真剣に悩んだ末に諦めてほしいなと思っています。
前段でも軽く触れましたが、本記事の執筆動機の一番大きな点は「旦那が育児しなそうだから子供産みたくない」という女性の友人がちらほらいたからです。
彼女達の旦那さんが男性育休を取れば産む気になるかというと、そんなことはないでしょう。ただ、ジブンゴトとして考え始めれば色々変わるのになーと思った次第でした。
ではまた。