こんにちは、金育SEのまさ(@kinikuse)です。
全世界インデックス買うなら
eMAXIS Slimにすればいいやー
とか考えてませんか?
インデックスファンドは、当然何らかの「インデックス」に連動しています。
信託報酬がどんなに安いファンドでも、インデックスが変だと利益が出ないかもしれません。
ちなみにeMAXISは「MSCI」に連動しています。日本の有名なインデックスファンドは、「MSCI」か「FTSE」のどちらかのインデックスを採用しています。
正直、インデックスの話だけするとFTSEの方が優秀です。
2つの指標の違いについて、一緒に勉強してみましょう。
少し長めの記事なので、目次から気になるところに飛んで下さいね。
人気の全世界インデックスファンド
2021/8時点で人気のインデックスファンドを並べてみます。
名前 | インデックス | 信託報酬 | 純資産残高 (億円) |
---|---|---|---|
eMAXIS Slim全世界株式(オルカン) | MSCI ACWI(含む日本) | 0.114 | 8,087 |
eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) | MSCIACWI(除く日本) | 0.114 | 1,944 |
野村つみたて外国株投信 | MSCI ACWI(除く日本) | 0.209 | 703 |
楽天・全世界株式インデックスF | FTSE Global All Cap Index | 0.132 | 7,309 |
SBI・全世界株式インデックスF | FTSE Global All Cap Index | 0.068 | 820 |
eMAXISと野村はMSCI系、楽天とSBIはFTSE系という違いがありますね。
信託報酬だけでなく、その投資対象も意識できると投資家レベルも1段階上がりますね。
社名がインデックスになる
ちなみに「MSCI」も「FTSE」も会社名です。インデックスには、作った会社名を入れる慣習があります。
- MSCI:Morgan Stanley Capital International, Inc.
- FTSE:FTSE Internatinal,Ltd.
MSCIは、アメリカの企業です。世界を代表するモルガン・スタンレーとキャピタル・グループが合同で設立した企業ですが、現在は独立しています。
FTSEは、「ふっつぃー」という可愛い読み方なんですが、硬派な機関であるロンドン証券取引所の子会社です。
日本の代表的な指標も同じく企業名が入っていますね。
- 日経平均株価:日本経済新聞社
- TOPIX(東証株価指数):日本取引所グループ
日本の2つの指標は別の記事で詳しく解説しています。
MSCI ACWI(オールカントリーワールドインデックス)とは?
eMAXISや野村つみたてで採用されているインデックスです。
正式名称はMSCI All Country World Index。
こんな特徴があります。
- 先進国24カ国と新興国25カ国を組み合わせた49カ国に投資
- 主に3つの地域に分類される(米州、ヨーロッパ、アジア)
- 各国の大型/中型株(時価総額の上位約85%)をカバー
- 時価総額を加重平均して算出
全世界の85%に投資ができるので、分散効果は大きいです。
FTSE グローバル・オールキャップ・インデックスとは?
楽天やSBIで採用されているインデックスです。
正式名称はFTSE Global All Cap Index。特徴はMSCIとほとんど同じです。
- 先進国25カ国と新興国24カ国を組み合わせた49カ国に投資
- 主に3つの地域に分類される(米州、ヨーロッパ、アジア)
- 各国の大型/中型株に加えて小型株も対象(時価総額の上位約98%)
- 時価総額を加重平均して算出
MSCIとFTSEの違いは?
MSCIとの大きな違いは「投資対象国」「銘柄のサイズ」の2点です。
2つの指標の特徴と違いをまとめてみました。
観点 | MSCI All Country World Index | FTSE Global All Cap Index |
---|---|---|
投資対象国 | 先進国24・新興国25 | 先進国25・新興国24 |
銘柄数 | 2,900以上 | 9,000以上 |
時価総額カバー率 | 85% | 98% |
投資対象の銘柄 | 大型・中型 | 大型・中型・小型 |
計算方法 | 時価総額の加重平均 | 同左 |
インデックス利用料 | 普通 | 若干安い |
TOP5の銘柄 | アメリカ5銘柄 | 同左 |
大きく3つの違いがあるので、まとめますね。
違い1:FTSEは投資対象国が4カ国多い
2023/1現在では、どちらも投資対象国は同じです。以下のように数年前までは微妙に異なっていたので今後も違いが出る可能性はあります。
以下は古い情報ですがご参考まで。
2021/8現在では、MSCIの方が新興国の基準が広いです。逆にFTSEが1カ国(アルゼンチン)少ない状況になっています。
昔はMSCIには韓国が含まれておらず、サムスン電子などの銘柄への投資ができていませんでした。これらの対象国・対象銘柄の選定は毎年のように見直されています。
以下は2019/12の情報です
MSCIとFTSEでは新興国に属する国が異なります。
投資対象国 | MSCI | FTSE |
韓国・ポーランド | 新興国 | 先進国 |
クゥエート・パキスタン | × | 新興国 |
サウジアラビア・中国A株 | × | 2020/3までに追加 |
中国やサウジアラビアにも投資したいのであれば、FTSEを選んでも良いでしょう。
違い2:FTSEは小型株も含む
MSCIとは異なり、FTSEは小型株も投資対象です。
その結果、全世界の時価総額カバー率もFTSEの方が広いです。
- MSCI:85%
- FTSE:98%
違い3:FTSEはインデックス利用料が安い
あまり知られていませんが、FTSEの方がインデックス利用料が安いと言われています。
投資信託の運用会社は、インデックス会社とライセンス契約を結んで利用しています。
2012/10にはアメリカの運用会社であるヴァンガード社が、インデックス利用料を下げるために「MSCI」から「FTSE」に変更しています。これは楽天・全世界株式インデックスFの投資先の企業です。
米バンガード、一部ファンドの基準指標をMSCIから切り替えへ コスト削減狙い
なお、インデックス利用料の具体的な金額は非公開です。運用会社とインデックス会社との間の契約で決まります。
ただし、2017年に行われたMSCI社員との勉強会でちらっと情報がでていたようです。
MSCIとFTSEのパフォーマンスの違いは?
正直、どちらでも大きな違いはありません。
2022/11末時点の過去のパフォーマンスを示しておきます。ただ、、、バブルと目されるほどの数値になっているため、参考になる数字とは言えません。。
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 | |
MSCI | -11.2 | 7.1 | 6.9 | 9.2 | 5.6 | 8.5 |
FTSE | -11.0 | 7.1 | 6.9 | 9.2 | 5.6 | 8.7 |
参考のために、シャープレシオも記載します。
シャープレシオとは投資効率を示す指標のことです。リターン÷リスクで算出し高い方が優秀と言えます。
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | 15年 | 20年 | |
MSCI | -0.5 | 0.4 | 0.4 | 0.6 | 0.3 | 0.5 |
FTSE | -0.5 | 0.4 | 0.4 | 0.6 | 0.3 | 0.6 |
MSCIとFTSEはどっちが良いの?
インデックス投資をする上では、2つの理由でFTSEの方が優秀だと考えています。
インデックス投資の本質は「分散投資」です。単純に投資対象が多いほうが優秀と言えます。
特に、成熟した大型・中型株だけでなく、成長が見込まれる小型株も含めた方が経済成長を取り入れられると考えます。
ただし、、、
インデックス利用料は、、少なくともeMAXISについては関係ないかもしれません。
行動力のあるブロガー(たわら男爵さん)が、三菱UFJ国際投信に電話して聞いたそうです。笑
少なくともスリムシリーズが負担する指数利用料は極めて低廉です。
40代でアーリーリタイアしたおっさんがたわら先進国株でベンツを買うブログ
(eMAXISがFTSEに変更しても)指数変更による実質コストの低減効果は余り期待できなさそう。
番外編1:両方ともTOP5の銘柄は同じ
ちなみに当然といえばそうですが、両方ともTOP5の銘柄は同じです!(2023/1/11調べ)
順位 | 銘柄 | 国 | MSCI | FTSE |
1 | アップル | アメリカ | 3.25 | 3.09 |
2 | マイクロソフト | アメリカ | 2.64 | 2.84 |
3 | Amazon | アメリカ | 1.20 | 1.18 |
4 | Alphabet | アメリカ | 0.82 | 0.84 |
5 | Unitedhealth | アメリカ | 0.77 | 0.78 |
びっくりポイントとして、全てアメリカの銘柄ですね!
2年前はTOP10まで広げると台湾セミコンダクターという中国企業が入っていました。ただ、ウクライナ戦争をきっかけにアメリカ独占の様相に変わりました。
世界の株式市場の上位をアメリカが独占してるので、米国株投資が流行っているのも納得です。
番外編2:先進国投資では…?
先進国投資をするときも、この2つの指標が有名です。
人気のある投資信託であるeMAXIS Slim 先進国株式は、MSCI KOKUSAIというインデックスを目指しています。
つまり、投資対象国に韓国とポーランドを含みません。韓国のサムスンは買えないということです。 2021/8には改善されています。
FTSE基準の先進国投資信託を買うなら、SBI先進国株式インデックスFを買うことになりますね。
今回は全世界に連動する2つのインデックスついて解説しました。
「全世界に投資する」と言っても、MSCIよりもFTSEの方がカバー率が高いです。
eMAXIS Slimシリーズは信託報酬が非常に安いことが特徴です。でも投資対象で考えると別の選択肢も見えてきます。
少なくとも、分散投資の観点から考えると、楽天やSBIの方が優秀でしょう。
しっかりと理解して投資していきましょう。
ちなみに人気ブロガーの水瀬ケンイチ氏の書籍でも、全世界投信は紹介されています。
良い機会なので、私と一緒にお金の勉強を始めませんか。
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まさ