投資の実践

投資信託やETFは会社に申請すべきインサイダー対象なのか?

投資の実践
この記事は約6分で読めます。
スポンサーリンク

こんにちは、金育SEのまさ(@kinikuse)です。

金融系やBtoBの企業では、株の売買をする前に勤務先に申請が必要になることがあります。これはインサイダー取引から従業員を守るためのルールです。

制約のある会社のサラリーマンの方は、申請すべき取引を理解しておきましょう。

この記事で分かること
  • インサイダー取引=抜け駆け取引だとわかる
  • ETFと違い、REITがインサイダー取引だとわかる
  • 投資信託とETFはインサイダー取引に含まれないとわかる

ETFと投資信託はインサイダー取引に含まれない

はじめに結論を申し上げます。

  • 投資信託とETFはインサイダー取引の対象外
  • REITや個別株式はインサイダー取引の対象

ポイントは「有利な値段で売買するための不正な情報を知りうるかどうか」からです。

日本取引所グループでも下記のように述べています。

ETF、株式投資信託は、原則として、インサイダー取引規制の対象である「特定有価証券等」ではありません

もっとも、ETF、株式投資信託であっても、例えばいわゆる自社株投信のような、信託財産を特定の上場会社等の特定有価証券のみに対する投資として運用する旨を信託約款に定めた投資信託の受益証券や、同様の旨を規約に定めた投資法人の発行する投資証券などは、「特定有価証券等」に該当するものとして、インサイダー取引規制の対象となることがあります。

日本取引所グループ インサイダー取引に関する取引相談FAQ集より

一般的に投資信託は対象外ですが、細かいルールを押さえておく必要があるため、ツイッターでクイズを出してみました。​

​答えは「REITのみが対象」なので、あまり理解度は高くないようです。

会社によって株の売買を申請しなきゃいけない理由は?

インサイダー取引とは「不正な方法で知った情報で抜け駆け取引をすること」です。

業種によっては、他社情報に触れる機会の多い企業があります。例えば、証券会社や銀行、会計、広告、コンサルなどですね。彼らが何も知らずに株の売買をしてしまうと、故意でなくてもインサイダー取引の疑いをかけられることがあります。

大企業であればあるほど、「インサイダー取引の疑い」から従業員を守るために申請を課すことが多いです。

インサイダー取引とは?

東証のお硬い言葉ではこのように定義されています。

インサイダー取引とは、上場会社の関係者等が、その職務や地位により知り得た、投資者の投資判断に重大な影響を与える未公表の会社情報を利用して、自社株等を売買することで、自己の利益を図ろうとするもの

東京証券取引所より引用

例えば、あなたが上場会社の役員と飲みに行って、まだニュースになってない情報を知るとします。

友人
友人

ここだけの話、
来週から2兆円の自己株取得する予定なんだよね

まさ
まさ

それ、インサイダー情報だから取引したら捕まるヤツ!

この未公開情報を元に、株を買ってしまうと、インサイダー取引になり、罰金が課されます。まぁどうみても抜け駆けなのでやっちゃダメですね。

具体的な事例は、証券取引等監視委員会が毎年公開しています。興味があればどうぞ。

2020年は29件のインサイダー取引が摘発されたようです!

家族も対象!

もう少し具体的な禁止事項をまとめると下記となります。

インサイダー取引の禁止事項
  1. 会社関係者等や第一情報受領者が  【内部者】
  2. 上場会社等に関する  【株式の発行元】
  3. 重要事実を  【インサイダー情報】
  4. 知りながら  【故意】
  5. (重要事実が)公表される前に  【規制される期間】
  6. (上場会社等の)株式の取引を行うこと  【規制される行為】

今回の記事ではすべてを解説しませんが、「会社に申請するかどうか」に照らすとポイントは2つです。

  • 本人だけでなく、家族(1次情報受領者)も対象
  • 上場会社等に関する情報が対象

本人が知った情報をもとに、家族の証券口座で取引するのは当然ながら違法です。会社に申請する際は、隠れて取引している相方の分も申請した方が良いです。

上場会社等に関する情報については次のセクションでお話します。

会社に申請すべき取引を整理する

では本題に入ります。

インサイダー取引の対象になる商品がどうなるのかを見ていきましょう。

個別株はインサイダー取引の対象

個別株式は申請が必要。

当然、個別株式は申請が必要です。

ちょっと注意が必要なのは、日本だけでなく海外の株式も対象である点です。AppleやGoogleの株もインサイダー取引の対象なので、申請が必要なケースが多いでしょう。

ETFや投資信託はインサイダー取引に含まれない

ETFや投資信託は、申請不要なケースが多い

ETF・株式投資信託は、原則として対象外です。

普通の投資信託は、非常に多くの個別株に同時に投資します。インサイダー取引規制の対象である「特定有価証券等」は「ある一企業の株券」を指しますが、複数企業が混ざっていないため対象外になります。

ただし、投資信託にはトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドのような一企業に偏ったものがあります。これらは当てはまる可能性が高いので、注意が必要です。

REITはインサイダー取引の対象

REITはインサイダー取引の対象。要申請。

REITとは不動産投資信託のことを指しますが、インサイダー取引の対象です。

例えば、大江戸温泉リート投資法人というREITがあります。まさに大江戸温泉関連の不動産が投資対象になります。不動産がデフォルトするとか、食中毒が起きたとか株価に影響を与える情報はいくらでも思いつきます。そんなインサイダー情報を元に投資をするのは当然犯罪になります。

なお、2016年から始まったインフラファンドも対象になるため、注意が必要です。


いかがでしたか?

見出し
  • インサイダー取引は、不正情報で抜け駆け取引をすること
  • インサイダー取引の規制対象は、勤務先に事前申請が必要なことがある
  • 個別株式、REIT、インフラファンドは申請対象
  • ETF、投資信託は申請不要

また、インサイダー取引は刑事罰の対象になるような重大な罪になります。悪質な取引をする方はいないとは思いますが、疑いをかけられるだけでも不都合が生じます。

自分の身を守るためにも制度の理解はしておきましょう。


良い機会なので、私と一緒にお金の勉強を始めませんか。

まったり更新していくので、Twitter(@kinikuse)やFeedly, RSSに登録くださると幸いです。

まさ

タイトルとURLをコピーしました