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40歳・1億円でFIRE。直後に暴落が来たら資産は尽きるのか
この記事で伝えたいこと
「1億円あればFIREして安泰」は本当か。40歳・単身・資産1億円の架空の人が、リタイア直後に暴落を食らったらどうなるかを、自作のFIREシミュレーターLIFIREで検証しました。40歳で辞めれば、取り崩しは60年。税や社会保険まで含めて計算した、「お金が尽きる確率」の実測です。後半には、あなたが自分の手で同じ検証を再現する手順もつけています。
こんにちは、金育SEのまさ(@kinikuse)です。
「資産1億円でFIRE」。SNSでよく見る言葉ですよね。1億円あれば、もう働かなくても一生安泰。なんとなく、そういう空気があります。
でも本当にそうなのか。しかも、辞めた直後に大暴落が来たら? ずっと引っかかっていたので、自作のFIREシミュレーター「LIFIRE」に架空の人物を入れて、確かめてみることにしました。
先に言っておくと、これは私自身の数字ではありません。下に書く条件は、ぜんぶ架空のモデルケースです。私の資産額は内緒。笑
検証したのは、こんな40歳・単身の人
条件はこう置きました。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 年齢・家族 | 40歳 単身(1986年4月生まれ) |
| 金融資産 | 1億円 ・現金900万/NISA1,800万・簿価1,440万 ・特定口座7,300万・簿価5,840万) |
| 生活費 | 基本生活費16.7万円/月 +家賃8万円/月(更新料8万円/2年) |
| 年間支出 | 約300万円(=引出率3.0%) 税・社会保険はこの300万円の外側 |
| 年金 | 65歳から厚生年金 約10.6万円/月 |
| 資産配分 | 現金9%/外国株91%。 うち現金900万は暴落クッション |
| 外国株の前提 | 期待リターン7.0%(幾何平均=中央値の成長率) リスク(標準偏差)18.0% |
| その他の前提 | インフレ1.5% 100歳まで 都市部在住 |
ポイントは引出率です。よく聞く「4%ルール」より低い、3.0%に抑えています。1億円から年300万円しか引き出さない、かなり保守的なプラン。感覚的には「これで尽きるわけないでしょ」というライン。
私も最初はそう思ってました。
まず暴落なし。それでも4回に1回は尽きました
暴落イベントは一切入れず、ただ相場が良い年・悪い年をランダムに繰り返す。それを2,000回シミュレーションして、100歳までにお金が尽きる割合を見ます。
画面に出るのは「FIRE成功確率76%」。4回に3回は最後までお金が持つ、という意味です。
でも、裏返すと4回に1回は途中で尽きるということでもあります。この記事では、この「尽きる側」の数字で話を進めます。画面の成功確率を100から引いた数、と思ってください。
暴落なし。引出率3.0%。それでも4回に1回は尽きる。正直、これは想像より酷いです。
なんでこうなるか。最初は税と社会保険のせいだと思ったんですが、調べたら主犯は別でした。一番効いているのは、40歳で辞めると取り崩し期間が60年になること。それと、このシミュレーターが将来のリターンをかなり控えめに置いていることです。
4%ルールと何が違うのか(細かい話なので読み飛ばしOK)
そもそも本家の4%ルール(Bengen 1994、Trinity Study 1998)は、米国の株と債券で30年間を検証したものです。今回の前提とは土俵が違います。
1. 期間が倍
本家は30年。40歳FIREは60年です。さっきの画面をもう一度見ると、資産が尽きる年齢の中央値は75歳。30年ルールの射程は70歳までなので、今回数えた失敗の半分以上は、本家なら「そもそも数えない」領域で起きています。
2. リターン前提が2ptほど低い
LIFIREの外国株は名目7%(幾何平均)。円安の追い風を剥がした保守的な数字です。インフレ1.5%を引いた実質で約5.5%、現金9%を混ぜたポートフォリオ全体では実質約4.9%。4%ルールの根拠になった米国株の実質約7%より、2ptほど低い。60年の複利だと、この差が効いてきます。
ちなみに「日本はインフレがあるから不利」ではありません。4%ルールも毎年インフレ調整して取り崩す前提なので、そこは両者共通。効くのはインフレそのものではなく、この実質リターンの差のほうです。
3. 税・社会保険は「効くけど主犯ではない」
引出率3.0%の分子に、税や国民健康保険は入っていません。実際の取り崩しは3.3〜3.5%相当に上振れします。効くには効きますが、上の2つに比べると小さい。
4. 計算方法の差
モンテカルロは毎年の相場をランダムに引く方式なので、実際の歴史をなぞる検証より、最悪ケースが厚めに出ます。
アメリカ発の4%ルールをそのまま鵜呑みにできない理由が、この数字に出ている気がします。
FIRE翌年に暴落が来ると、確率はこう跳ねる
本題はここから。辞めた翌年、41歳のときに暴落が来たらどうなるか。
下落率を変えて、それぞれ2,000回試しました。
| 41歳での暴落 | 100歳までにお金が尽きる確率 | ベース(24%)からの悪化 |
|---|---|---|
| 暴落なし | 24% | ― |
| −20% | 37% | +13pt |
| −30% | 46% | +22pt |
| −40% | 58% | +34pt |
−40%が来たら、尽きる確率は58%。2回に1回どころか、もう半分以上の未来でお金が尽きます。1億円あってもこれです。
数字を眺めていて、背筋が寒くなりました。1億円は「積み上がった額」であって、「安全」とはまた別の話なんですよね。
同じ暴落でも、来る「順番」で傷が変わる
眺めていて、面白い、というか怖いことに気づきました。
同じ−20%の暴落でも、41歳で来るか45歳で来るかで結果が違うんです。41歳発生だと37%。でも45歳発生だと35%。遅く来るほど、傷が浅い。
理由を噛み砕くとこうです。辞めた直後は、資産が一番減っていない代わりに、これから取り崩す期間が一番長い。その一番大事な元本を、いきなり2割削られると、残った資産で回復するのがきつい。逆に数年たってからの暴落なら、それまでの数年で少し増えているぶん、耐えやすい。
専門用語だと「収益率配列リスク(シーケンス・オブ・リターン・リスク)」なんて呼ばれます。でも要は、同じ暴落でも、来る順番が悪いほど効く、それだけの話です。
「暴落が怖い」の正体は、下落率そのものより、それがいつ来るかなんですよね。FIRE直後の数年が一番の急所。ここは頭に入れておいて損はないと思います。
「ちょっとだけ働く」が、思ったより効いた
じゃあ打つ手はないのか。防御策も試してみました。
完全リタイアをやめて、41歳から50歳までの10年だけ、月5万円の労働収入を足す。パートでも、細々した仕事でもいい。それだけで、−20%暴落シナリオでお金が尽きる確率がどう動くか。
結果、尽きる確率が約4pt下がりました。−20%暴落で膨らんだ被害(+13pt)のうち、ざっくり3割を相殺した計算です。
月5万ですよ。フルで働くんじゃなくて、ちょっと動くだけ。それでこれだけ効く。
ちなみに月15万円まで増やすと、被害の約7割を相殺できました。ここまで来ると、暴落の傷はだいぶ浅くなります。
FIREって「完全に働かない」がゴールみたいに語られがちだけど、この数字を見ると、少しだけ働き口を残しておくのがいかに効くか、よく分かります。0か100かじゃないんですよね。
念のため補足すると、この4ptとか7割という数字も、あくまでこのモデルケースの話です。前提が変われば動きます。細かい前提はここでは割愛しますが、そこは自分の数字で確かめてほしいところ。
ここから先は、あなた自身の数字で(再現チュートリアル)
ここまで読んで「自分だったらどうなるんだろう」と思った人へ。LIFIREは無料・登録不要で、いま見せた検証を、そっくり自分で再現できます。手順は5ステップです。
ペルソナのデータをダウンロード
今回の40歳・1億円モデルの設定を、そのままJSONファイルにしてあります。下のボタンから保存してください。
(自分の数字でやりたい人は、この手順は飛ばして最初から入力してもOKです)
LIFIREにインポート
LIFIREを開いて、左メニューの「設定」へ。下のほうにある「JSONエクスポート/インポート」の「インポート」から、さっきのファイルを読み込みます。これで40歳・1億円の前提が一発で入ります。
暴落イベントを足す
左メニューの「資産運用」を開いて、「ストレステスト(暴落イベント)」の「暴落イベントを追加」。発生年齢41・継続期間1年・下落率20%・対象アセットすべて、で登録します。これが「FIRE翌年に−20%」のシナリオです。
モンテカルロ分析を回す
左メニューの「ダッシュボード」を開いて、画面を一番下までスクロール。「高度な分析・暴落テスト」の中にある「詳細な分析機能を利用する」を押すと、分析画面に移ります。モンテカルロ分析はこの次の画面から実行できます。まずは既定の500回で結果が出るので、その成功確率を、本文の37%(=成功63%)と見比べてみてください。
それでも、本文とピッタリにはなりません
モンテカルロは毎回違う乱数の並びで回すので、同じ条件でも数字は揺れます。既定の500回だと±4ptくらい平気で揺れるので、本文の37%が手元では33〜41%あたりに見えることがあります。「高精度で再実行」を押せば±2pt程度まで縮みますが、それでも完全一致はしません。バグではなく、この計算方法の性質です。
下落率を30%・40%に変えたり、発生年齢を45にずらしたり。本文でやった検証は、全部この画面の中で再現できます。自分の資産配分や生活費に置き換えて回すと、たぶん一番刺さります。
まとめ
1億円でFIRE、しかも引出率3.0%という保守的なプラン。それでも、60年という長さと控えめなリターン前提で計算すると、暴落なしでも4回に1回(24%)、FIRE翌年に−40%が来れば半分以上(58%)の未来でお金が尽きます。「1億円あれば安泰」は、条件しだいで簡単に崩れます。
でも、絶望する話でもないと思っていて。暴落の怖さは下落率より「来る順番」だと分かれば、身構えるべき時期が見えます。月5万円ちょっと働くだけで被害の3割を相殺できると分かれば、打てる手も見えます。大事なのは、平均リターンの1本線じゃなくて、自分の数字で最悪の並びを一度見ておくこと。それだけで、覚悟の質が変わる気がします。
まずは自分の条件を入れて、一度回してみてください。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
良い機会なので、私と一緒にお金の勉強を始めませんか。
まったり更新していくので、X(@kinikuse)もフォローいただけると幸いです。
あなたのFIRE計画は、暴落に耐えられますか?
自作の無料ツール「LIFIRE」でここまで検証できます。
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