コンテンツにスキップ

4資産均等型でFIREはできるのか。同じ1.8億円で、お金が尽きる確率が49%と11%に割れました

アイキャッチ画像

この記事で伝えたいこと

1.8億円で40歳リタイアする4人家族の投資先を、外国株100%から4資産均等に替えてみました。お金が尽きる確率は、5回に1回から2回に1回へ悪化。

ところが同じ4資産均等でも、53年ぶんの実績データで置き直すと9回に1回まで良くなりました。中身はまったく同じ配分なのに、です。

LIFIREでこのシナリオを検証する

こんにちは、金育SEのまさ(@kinikuse)です。

前回、4人家族でFIREするにはいくら必要かという記事を書きました。40歳で夫婦とも辞めて、子ども2人を育てながら100歳まで取り崩す。1.8億円積んでも5回に1回はお金が尽きる、という結論でした。

あれをXに投稿したところ、ななし@氷河期ブログの人@_teeeeest)さんから声をかけていただきました。

4資産均等型の超長期リターン、リスクでやるとかなり変わるかと

たしかに前回の計算は、投資性資産をまるごと外国株に置いていました。分散すればリスクは下がる。そこは動かしていなかったわけです。

しかもありがたいことに、ご自身で作られた4資産均等型の年次データまで提供いただきました。

ワイのブログに53年間の長期データがあります

もし使えそうだったらお使いください

さらに、こんなリクエストも。

リスクリターンを入れてAIに計算させたのも見てみたい

なので、計算しました。この記事はその回答です。データは、ななしさんの記事から使わせていただいています。

四資産均等データの出どころについて

ななしさんの53年データは、ご本人の記載によるとGemini+ディープリサーチで作成されたもので、公的機関の一次統計ではありません。ご本人も、データの性質についてこう書かれています。

機関がしっかり調査したやつを有料で良いから買いたい

なのでこの記事では、このデータを「こういう前提を置いたらどうなるか」を試すための材料として扱っています。LIFIREの標準値を置き換えるものではありません。数字そのものの正確性は、元データの性質に依存します。

動かしたのは、資産の配分と前提だけです

夫婦がイーゼルに立てた大きな円グラフを見ているイラスト。円は4等分され、それぞれに国内株・外国株・国内債・外国債と書かれている。手前の木の看板には「4資産均等」とある

先に断っておくと、今回は前回の家族をそのまま持ってきています。

年齢も、生活費も、家賃も、車も、年金も、子どもの進路も、前回と1円も変えていません。動かしたのは投資性資産の中身と、そこに置く期待リターン・リスクだけ。そうしないと、確率が動いたときに何が効いたのか分からなくなるからです。

今回の主人公

40歳の共働き夫婦。世帯年収1,200万円で、子どもは8歳・4歳の2人。金融資産は1.8億円。前回の記事を読んで、こんな相談に来たとします。

「読みました。1.8億円あっても5回に1回はダメなんですね……。ただ、あれって全部を外国株に置いた計算ですよね。国内株も債券も混ぜて分散したら、もう少しマシになるんじゃないでしょうか。四資産均等って、無難な選択肢だとよく聞くので」

こんな相談があったとしたら。数字はどう答えるんでしょうか。

家族・生活の条件(前回とまったく同じなので畳んでいます)

上の3行が今回動かした部分で、下は前回のまま据え置きです。前回の記事を読んだ人は開かなくて大丈夫です。

項目 設定
Aの配分 現金9%/外国株91%(=前回の記事そのもの)
B・Cの配分 現金9%/4資産均等91%
 国内株・国内債・外国株・外国債を均等に、毎年リバランス
リターンの前提 AとBはLIFIRE標準/Cはななしさんの53年実績
年齢・家族 40歳夫婦・子2人(8歳/4歳)
金融資産 1.8億円(現金1,620万/NISA夫婦で4,320万/特定1億2,060万)
生活費 基礎生活費18.3万円/月+養育費4.2万円/月 × 2人
住居費 賃貸12万円/月
SUV/ミニバン1台・維持費 年約71万円
年金 65歳から世帯 約252万円/年
そのほか インフレ1.5%/100歳まで/2,000回試行

数字はすべて税引き後です。 年金は割引なし、つまり制度が今のまま維持される前提。そして、これは私自身の数字ではありません。全部が架空のモデルケースです。

リターンの前提(ここだけを動かします)

3つの前提に置いたリターンは、こうなっています。以下、この3つを A・B・C と呼びます。

配分・前提 期待リターン(幾何平均) リスク(標準偏差)
A 外国株100%(LIFIRE標準) 7.0% 18.0%
B 4資産均等(LIFIRE標準の合成) 4.1% 9.9%
C 4資産均等(ななしさんの53年実績) 6.7% 11.3%

BとCは、まったく同じ配分です。違うのは、そこに置いた期待リターンとリスクの数字だけ。ここが今回の記事のすべてです。

なぜBの期待リターンは4.1%なのか

4.1%は低すぎる、と感じた人もいると思います。理由を書いておきます。

LIFIREのデフォルトは、市場平均の過去実績をそのまま採用していません。 直近の実績で置くと、2024年から2026年の相場が良すぎて、期待リターンが高いほうへ引っ張られてしまうからです。いちばん良かった時期を基準に取り崩しの計画を立てるのは、さすがに危ないと思っています。

その控えめに置いた数字がBの4.1%で、結果としてCの53年実績(6.7%)より低くなりました。つまりこの記事は、うちの保守的な前提と、53年ぶんの実績を並べていることになります。

税金・リターン・年金の前提(気にする人向けに全部書いておきます)

税金。 特定口座の含み益には、取り崩すときに譲渡益課税20.315%が乗ります。取り崩す順番は現金→特定口座→NISAで、非課税の枠が最後まで残る形。4資産均等のケースでは毎年リバランスをかけるので、そのたびに特定口座では譲渡益が実現します。 これも計算に入っています。

リターン。 Bの4.1%は、国内株4.0%/外国株7.0%/国内債1.0%/外国債3.0%を合成した値です。外国資産には「円安の追い風が剥落したあと」も織り込んでいます。信託報酬は引いていないので、そこは自分で少し割り引いて読んでください。

資産どうしの連動。 4資産均等のような分散ポートフォリオでは、資産が同時に落ちるかどうかで結果が大きく変わります。LIFIREは資産クラス間の相関を固定の相関行列として持っていて、「平時は独立でも危機のときだけ一斉に落ちる」という時変の動きは意図的に入れていません。この記事の確率は、その固定相関モデルのもとでの推計値です。危機時の連動まで再現した真の数字ではありません。

年金。 厚生年金は40歳までの実績で止めていて、辞めたあとは1円も増えません。「割引なし」というのは、将来の給付水準が目減りしない前提で置いたという意味です。ここを削ると数字はもっと悪くなります。

引出率。 LIFIREが表示する引出率は生活費と住居費だけを資産で割った数字で、教育費と車の維持費は分子に入っていません。 表示される引出率より、実際の財布はずっと重いです。

誤差。 確率は2,000回の試行から出しています。同じ条件でも乱数の並びで±2ptほど揺れるので、この記事の数字を1ポイント単位で読まないでください。「49%と11%は明確に違う」くらいの粒度で見るのが正しい使い方です。

【本題】同じ1.8億円で、「2回に1回」にも「9回に1回」にもなりました

先に答えを書きます。分散したら楽になる、とは限りませんでした。むしろ、置いた前提によって真逆に出ます。

配分・前提 期待リターン 100歳までにお金が尽きる確率 言い換えると
A 外国株100% 7.0% 20% 5回に1回
B 4資産均等(LIFIRE標準) 4.1% 49% 2回に1回
C 4資産均等(ななしさん53年実績) 6.7% 11% 9回に1回

同じ1.8億円です。同じ家族で、同じ生活費で、同じ家に住んでいる。それでも2回に1回にもなるし、9回に1回にもなる。

A 外国株100%は、5回に1回(前回のおさらい)

まずA。前回の記事と同じ配分で、20%でした。5回に1回はお金が尽きる。

前回もこの資産額では20%と書いていて、今回もほぼ同じところに出ています。ただし転記ではありません。

前回の公開後にLIFIREへ資産どうしの連動(相関)を実装したので、同じコードで回し直した値をここでは使っています。

B 4資産均等(リターン4.1%)は、2回に1回まで悪化しました

驚いたのはここです。Bで回すと49%。Aの5回に1回から、2回に1回になりました。

リスクは半分近くまで下がっているのに、です。18.0%が9.9%ですから、値動きの荒さでいえば見違えるほど大人しい。それでも悪化した。

理由ははっきりしていて、期待リターンが7.0%から4.1%まで落ちるからです。

取り崩しに効くのは、期待リターンからインフレを引いた実質リターンのほう。それをこの世帯の引出率2.6%と並べると、こうなります。

Bだと、実質リターンは引出率とちょうど同じ2.6%。 増える分と出ていく分が拮抗します。しかも引出率の分子には教育費も車の維持費も、辞めたあとの社会保険料も入っていません。実際の支出はこれより確実に大きいので、元本が削れていきます。

AとCは、赤い線の倍くらいあって余裕がありました。

ここ、積み立てているあいだの感覚と真逆なんですよね。値動きが穏やかでも、増えるスピードが足りなければ穏やかに、着実に尽きていくわけです。

C 4資産均等(ななしさんの53年実績)は、9回に1回まで良くなりました

そしてC。ななしさんの53年データから出した前提を入れると、11%9回に1回まで下がりました。Aより良い。

配分はBとまったく同じです。国内株・国内債・外国株・外国債を4分の1ずつ。違うのは、そこに置いたリターンとリスクの数字だけ。 それだけで49%が11%になりました。

Cが強いのは、期待リターンをAに近い水準で保ったまま、リスクだけがずっと低いからです。取り崩しの局面では、序盤に大きく落ちること自体が致命傷になります。

同じくらい増えるなら、揺れが小さいほうが取り崩しには圧倒的に有利。 最初にいただいた指摘どおり、かなり変わりました。

【コラム】同じ4資産均等でも、買い方だけで差がつきます

ここでひとつ、前提の話とは関係のない差を挟ませてください。

同じ4資産均等でも、4本をバラで買って自分でリバランスするか、バランスファンド1本で持つかで結果が変わります。1本にまとめておけば、ファンドの中でのリバランスに課税が発生しないからです。

次の表は、AIと相談しながら、特別なテストを実行した結果です。Cの前提のまま、1.8億円ではなく1.5億円で測定しました

4ポイントの差です。バラで持つと、毎年のリバランスのたびに特定口座で譲渡益が実現して、そのぶん税金を先払いすることになります。

期待リターンをいくつに置くかとは関係なく、買い方を変えるだけで得られる差です。ニッセイの4資産均等型のようなバランスファンドを1本持つ形なら、何もしなくてもこの差は取れます。

Bが悪く出たのは、うちの前提が保守的だからです

円グラフから切り分けられた4つの資産が、1本の太いロープで束ねられて同じ方向へ引っ張られているイラスト。分散したつもりでも一緒に動いてしまう様子。手前の木の看板には「相関」とある

ここは省略せずに書かなければいけないところです。上の結果だけを見ると、「分散なんてしないで外国株に集中したほうがいい」 と読めてしまうので。

① LIFIREの相関設定は実測値よりも保守的です

LIFIREは資産どうしの連動(相関)を、実勢よりも保守的に置いています。国内株と外国株はほとんど同時に動く、株と債券もそこそこ一緒に動く、という設定です。

この保守化は、分散ポートフォリオにだけ効きます。 A(外国株のみ)のように単一の資産クラスしか持たない人には、相関を厳しくしても何も起きません。事実、Aは相関を実装する前と後で、誤差の範囲でしか動きませんでした。

つまりBが2回に1回まで悪化しているのは、リターン前提の低さに加えて、相関の保守設定を真正面から受けているからです。「集中投資のほうが有利」という結論ではありません。

② それでも、49%と11%の差に相関は効いていません

混ぜてはいけない区別がもうひとつあります。

AとBの差には、リターン前提の低下と相関の保守設定の両方が乗っています。 LIFIREで実際に測ったところ、資産どうしの連動を計算に入れたことだけで4資産均等は15ポイントほど悪化しました。残りがリターン前提の差です。

いっぽうBとCは、まったく同じ相関行列で回しています。 保守的な設定は、どちらにも同じだけ効いている。

だから49%と11%の差のほうは、リターンとリスクの前提の差だけで説明がつきます。

ご参考:この結論が崩れる2つの条件(都合の悪い話なので折りたたみ)

ここまで読んで「4資産均等、いいじゃん」と思った人がいたら、この2つは知っておいてください。どちらもCの優位を崩す方向の話です。

(a) 53年の強さは、日本のバブルに支えられています

同じデータを1990年以降の36年だけで切り直して回すと、1.8億円で31%。3回に1回まで悪化して、Aの20%より悪くなりました。

資産別に分解すると、原因ははっきりしています。

資産 1973-1989年 1990-2025年
国内株 16.1% 2.1%
国内債 6.6% 2.2%
外国株 9.5% 8.9%
外国債 5.8% 5.5%

外国の2資産は、前半と後半でほとんど変わっていません。落ちたのは国内株と国内債だけ。4資産均等のうち、ちょうど半分です。

53年平均の高さは、バブル期の国内株と、当時の高金利下の国内債が持ち上げていたものでした。

これを再現性のある前提として使えるかというと、私は使えないと思っています。

(b) 資産が薄いと、順位がひっくり返ります

もうひとつ。この記事は1.8億円の結果しか見せていません。 実際には1.0億円から1.8億円まで4水準を回してあります。

そして、資産が少ないほど両者の差は縮み、1.0億円では逆転します。 Aが69%、Cが80%。境目は1.2億円と1.5億円のあいだのどこかです。

構造としてはこうです。資産が厚ければ、揺れを小さくして生き延びる戦略が効く。でも資産が薄いと、そもそも増えないと間に合わないので、リターンの高さが要る。同じ配分の評価が、資産額だけでひっくり返るわけです。

1.8億円だけを見せて終わると、Cがいちばん良く見える水準を選んで出したことになってしまうので、ここは書いておきます。

まとめ

同じ1枚のグラフを夫婦で覗き込んでいるイラスト。紙の先から道が2本に分かれ、片方は緑の丘と木へ、もう片方は灰色の霧の中へ消えていく。手前の木の看板には「前提」と書かれている

同じ1.8億円・同じ家族で、配分と前提だけを動かした結果がこれです。

配分・前提 期待リターン お金が尽きる確率 感想
A 外国株100% 7.0% 20% 前回と同じ
B 4資産均等(LIFIRE標準) 4.1% 49% 分散しても悪化した
C 4資産均等(ななしさん53年実績) 6.7% 11% 同じ配分なのに逆転

持ち帰ってほしいことは、3つです。

① 「4資産均等は正解か」に、シミュレーターは答えられません。 同じ配分なのに、置いた前提だけで「2回に1回」にも「9回に1回」にもなりました。答えが出るのは「あなたが置いたリターンの想定のもとでどうなるか」までなんですよね。歯切れが悪いですが、これが正直なところです。この結論が崩れる条件も折りたたみに2つ書いておきました

② 取り崩す局面では、値動きの穏やかさよりリターンの絶対水準が効きます。 値動きを抑えること自体には価値がありますが、そのために期待リターンを大きく落とすと裏目に出る。増やす局面の感覚のまま守りに寄せると、思っているのと逆になります。

③ 同じ4資産均等なら、バランスファンド1本のほうがバラ持ちより有利です。 ファンドの中のリバランスには課税されないぶんだけ。①②と違って、これは期待リターンをいくつに置いても変わりません。

最後に。今回の計算は、ななしさんが53年ぶんのデータを公開し、利用を快諾してくださらなければ、そもそも成立しませんでした。ありがとうございました!

この記事を読んでいるあなたの前提は、たぶん私ともななしさんとも違います。だったら答えも違うので、そこは自分で回してみてください。

自分の数字でFIRE可能額を計算する

関連記事


免責事項

LIFIREは投資助言・金融商品の勧誘を目的としたものではありません。表示される結果は、入力された前提に基づく一般的な試算であり、将来の運用成果・税制・社会保障制度を保証するものではありません。実際の投資判断・資産形成は、ご自身の責任において、必要に応じて税理士・ファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談のうえ行ってください。

入力データの取り扱いについてはプライバシーポリシーをご確認ください。


最後までお読みいただきありがとうございます。
良い機会なので、私と一緒にお金の勉強を始めませんか。
まったり更新していくので、X(@kinikuse)もフォローいただけると幸いです。

あなたのFIRE計画は、暴落に耐えられますか?

自作の無料ツール「LIFIRE」でここまで検証できます。

  • 達成確率数百回のモンテカルロ試行で「資産が枯渇しない確率」を算出
  • 感度分析FIRE時期を±2/4/6年ずらすと成功率がどう動くか(年金・退職金の連動込み)
  • 暴落テストFIRE直後の株価4割下落ショックに資産寿命が耐えるかを測定

無料でFIRE診断する

登録不要・完全無料

投資に関するご注意

当サイトの情報は、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
投資の最終的な決定は、ご自身の判断と責任において行ってください。