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【NTT健保】特例退職被保険者制度とは?任意継続・国保との違いと損益分岐点

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この記事で伝えたいこと

  • NTTを退職後、健康保険をどうするかで年間数十万円の差が出る
  • 初年度の国保は「前年の高い年収」で計算されるため上限額に張り付く落とし穴
  • 再雇用で年収が下がった2年目以降に「特例退職」と「国保」の損益分岐点が来る

こんにちは、金育SEのまさ(@kinikuse)です。

「もうすぐ定年だけど、退職後の健康保険ってどうすればいいの?」

「任意継続とか特例退職とか、言葉が難しくてよくわからない」

「とりあえず会社に言われた通りに手続きすればいいのかな」

親や会社の先輩から、よくこんな相談を受けます。 定年退職や早期リタイアが見えてくると、突然目の前に現れるのが「健康保険の切り替え」問題です。

特にNTTグループに勤めている方なら、NTT健保の「特例退職被保険者制度」という大きな特権が使えます。

でも、頭で考えずに「会社の制度だからお得だろう」と思考停止で選ぶのはちょっと待ってください。 自分の年収やタイミングによっては、逆に大きく損をしてしまうこともあるんですよね。

実は私、会社の福利厚生の規約を端から端まで読むのが趣味みたいなところがあります。笑 今回は、複雑な決まり事を整理して、一番お金が残る選択肢をシミュレーションしてみます。

この記事で分かること

  • 退職後の健康保険「3つの選択肢」の違い
  • NTT健保の「特例退職被保険者制度」のメリットとデメリット
  • 自分の年収に合わせた「リアルな損益分岐点」の考え方

退職後の健康保険、3つの選択肢

3つの選択肢

退職後、私たちが選べる健康保険の道は大きく3つあります。 (家族の扶養に入る、という道もありますが、今回は自分が被保険者になる前提で話を進めます。)

まずはざっくりと、どんな特徴があるのか表で整理してみます。

制度名 加入できる期間 保険料の決まり方 扶養家族
国民健康保険(国保) 制限なし 前年の所得で決まる 全員分の保険料が別々に必要
任意継続 退職後 最長2年 退職時の年収(※上限あり)で決まる そのまま無料で入れる
特例退職被保険者制度 75歳(後期高齢者)まで 全被保険者の平均で決まる(定額) そのまま無料で入れる

これだけ見ても、「何がなんだか」って感じですよね。

一番のポイントは保険料の計算ルールが全部違うってことです。 ここを理解しておかないと、退職後に届いた保険料の納付書を見て腰を抜かすことになっちゃいます。

特例退職被保険者制度とは?(NTT健保の強み)

特例退職被保険者制度というのは、すべての会社にあるわけじゃありません。 限られた「特定健康保険組合」だけが国から許可をもらって運営できる特別な制度です。

NTT健保はこの制度を持っています。 一言で言うと、退職後も現役時代とほぼ同じ手厚い保障を受け続けられるチケットです。

メリットは強烈です。 現役時代の「月2.5万円以上の医療費は払わなくていい(付加給付)」という手厚い保障がそのまま継続されますし、配偶者や子供を無料で扶養に入れておくこともできます。

ただ、デメリットもあります。 それは「保険料の決まり方」です。

国保は自分の去年の年収で保険料が決まります。 でも特例退職は、自分の年収は一切関係ありません。「NTT健保に入っている全社員の平均」から計算された固定の額を払うことになります。 大体、年間で40万〜50万円くらいの定額の支払いが、退職後ずっと続くイメージです。

損益分岐点シミュレーション:あなたはどれを選ぶべきか?

損益分岐点

「じゃあ結局、どれが一番得なの?」 ここが一番気になりますよね。

実は、定年退職をする方には絶対に知っておくべき落とし穴が潜んでいます。

NTTの主要企業(NTTデータ、ドコモなど)で管理職まで勤め上げた方なら、定年退職直前(59歳時)の年収は1000万円を超えていることも珍しくありません。 今回は、この「退職前年収1000万円」を前提に、2つのパターンでシミュレーションしてみます。

【単身】パターン1:60歳で完全リタイアした場合(退職初年度の落とし穴)

60歳で退職し、その後は一切働かずに完全リタイア(収入0円)したケースです。 ここで「国民健康保険」を選んではいけません。

【シミュレーション結果(金額ベース)】

年目(年齢) 特例退職 国民健康保険 特退を選ぶとお得になる額
1年目 (60歳) 45万円 104万円 +59万円
2年目 (61歳) 45万円 7万円 -38万円 (国保がお得)
3年目 (62歳) 45万円 7万円 -38万円 (国保がお得)

国保の保険料は「前年の所得」で計算されるからです。 つまり、1000万円を超えていた現役最後の高い年収をベースに計算され、保険料はあっさりと上限額(年間100万円超)に張り付きます。 年収が0円に減っているのに、保険料は100万円持っていかれる。地獄です。

この初年度は、保険料に上限がある「特例退職(または任意継続)」を選ぶのが圧倒的にお得です。 そして2年目以降は、前年の年収が0円になるため国保の保険料が激減します。このタイミングで国保に切り替えるのがセオリーですね。

【単身】パターン2:60歳で再雇用、62歳でリタイアした場合(2年目以降の逆転)

続いて、60歳から再雇用で年収400万円になり、62歳で完全にリタイアしたケースです。 じゃあ、そのまま特例退職をずっと続ければいいのか?というと、話はそう簡単じゃありません。

【シミュレーション結果(金額ベース)】

年目(年齢) 特例退職 国民健康保険 特退を選ぶとお得になる額
再雇用1年目 (60歳) 45万円 104万円 +59万円
再雇用2年目 (61歳) 45万円 35万円 -10万円 (国保がお得)
再雇用3年目 (62歳) 45万円 35万円 -10万円 (国保がお得)
リタイア1年目 (63歳) 45万円 35万円 -10万円 (国保がお得)
リタイア2年目 (64歳) 45万円 7万円 -38万円 (国保がお得)

再雇用で年収が400万円になった年の翌年(61歳時)。 ここで国保の計算ベースは「再雇用後の400万円の年収」に下がります。 すると、国保の保険料も年間35万円前後まで一気に下がるんです。

ここで初めて、特例退職(ずっと約45万)と国保(約35万)の損益分岐点が訪れます。 単身で扶養家族がいなければ、この時点で国保に切り替えた方が毎月の支払いは安くなる可能性が高いです。

【専業主婦あり】パターン3:60歳で完全リタイアした場合

続いて、専業主婦の奥様を扶養に入れているケースを見てみましょう。 特例退職は扶養に入れても保険料が変わりませんが、国保は「人数割り(均等割)」があるため、妻の分だけ年間約7万円ほど上乗せされます(上限額に達している年を除く)。

【シミュレーション結果(金額ベース)】

年目(年齢) 特例退職 国民健康保険 特退を選ぶとお得になる額
1年目 (60歳) 45万円 104万円 +59万円
2年目 (61歳) 45万円 14万円 -31万円 (国保がお得)
3年目 (62歳) 45万円 14万円 -31万円 (国保がお得)

1年目は国保が上限額(104万)に張り付いているので単身と同じですが、2年目以降は単身の7万から14万に増えます。 それでも特例退職の45万よりはずっと安いので、2年目に国保へ切り替えるという大枠のセオリーは変わりません。

【専業主婦あり】パターン4:60歳で再雇用、62歳でリタイアした場合

一番判断が悩ましいのが、この「再雇用+専業主婦」のケースです。

【シミュレーション結果(金額ベース)】

年目(年齢) 特例退職 国民健康保険 特退を選ぶとお得になる額
再雇用1年目 (60歳) 45万円 104万円 +59万円
再雇用2年目 (61歳) 45万円 42万円 -3万円 (国保がお得)
再雇用3年目 (62歳) 45万円 42万円 -3万円 (国保がお得)
リタイア1年目 (63歳) 45万円 42万円 -3万円 (国保がお得)
リタイア2年目 (64歳) 45万円 14万円 -31万円 (国保がお得)

再雇用2年目(61歳)、単身なら国保が35万まで下がり、特退(45万)と明確な差が生まれました。 しかし妻が国保に加入することで均等割が乗るため、国保の保険料は約42万円まで上がります。

こうなると特退(45万円)との差は年間わずか3万円。 この程度の差なら、後述する付加給付や人間ドックの補助などの強力なメリットを優先して「特例退職を継続する」という選択がかなり有力になってきます。

退職前に思考停止せず、この切り替えのタイミングをシミュレーションして待ち構えておくことが大切なんですよね。

私はこういう細かい計算が好きなので全部自分でやっちゃいますが、普通の人は面倒くさいと思います。笑

結局、どんな人が特例退職を選ぶべきなの?

特退を選ぶべき人

ここまで「保険料の損益分岐点」というシビアなお金の話をしてきましたが、金額だけで決めるのは少しもったいないです。 特例退職(NTT健保)には、国保にはない強烈なメリットがあるからです。

以下のような方は、多少保険料が割高になっても特例退職を選んだ方が、トータルで「得」をする可能性が高くなります。

1. 持病がある・医療費の不安が大きい人

これが一番の理由になります。 NTT健保の最大の強みである「付加給付」は、特例退職でもそのまま使えます。 月の医療費がいくらかかっても、自己負担の上限が2.5万円で済むというアレですね。

もし国保になった場合、一般的な高齢者の所得でも高額療養費制度の上限は月に8〜9万円ほどかかります。 例えば半年間(6ヶ月)の高額な治療が続いた場合、国保なら約50〜60万円の負担ですが、NTT健保なら15万円で済み、その差額は約45万円にもなります(詳細はこちらの記事を参照)。 毎月5万円以上の差額が出るような状況なら、保険料の差額なんてあっという間にペイできてしまいます。

2. 人間ドックなどの健康管理を重視する人

NTT健保なら、毎年の人間ドックを健保の補助を使ってかなり割安に受けることができます。 国保になるとこうした手厚い補助は基本的になく、自費で受けると通常4〜5万円はかかりますが、NTT健保の補助(家族向け通院ドック等)を使えば自己負担は6,000円程度です。

つまり、人間ドックを1回受けるだけで約3〜4万円お得になり、夫婦で受ければ年間6〜8万円ものリターンになります。 「差額の保険料は、毎年質の高い人間ドックを割安で受けるためのサブスク代」 こんな風に健康への投資として割り切れる人にとっては、特例退職はすごく良い選択肢になります。

3. 扶養家族(専業主婦など)がいる人

先ほどは「単身」を前提に損益分岐点の話をしましたが、扶養家族がいると話は全く変わります。 国保は「人数割り」なので、妻を入れればその分だけしっかり保険料が跳ね上がります。 一方、特例退職は定額のまま、妻を「扶養」に無料で入れておくことができます。

シミュレーションのパターン3・4で見たように、妻が国保に入るだけで年間約7万円の出費増になります。特例退職ならこの7万円がずっと「タダ(0円)」で済むわけです。 専業主婦の奥様がいる場合は、国保の保険料が思いのほか高くなり、損益分岐点がずっと先(あるいは一生逆転しない)になるケースも多いんですよね。

まとめ:結局どちらを選ぶべきか?(筆者の結論)

退職後の健康保険選びについて、ざっくりと構造を整理しました。 様々なメリット・デメリットを解説してきましたが、具体的な数字から導き出される私の最終的な結論(スタンス)は以下の通りです。

まとめ(筆者の結論)

  • 初年度は「前年の高い年収」がベースの国保を避け、特例退職(または任意継続)一択
  • 年収が下がった2年目以降は、基本的には国保へ切り替えるのが正解
  • 特退を継続するメリットがあるのは「医療保険がゼロで、かつ健康に強い不安がある夫婦」などの例外のみ。

なぜ「基本は国保切り替え」と言い切れるのか? もう一度、再雇用2年目以降(国保保険料が底を打つタイミング)の数字を冷静に見てみましょう。

特例退職と国保の保険料の差額は、単身で約38万円、夫婦(専業主婦)で約31万円でした。 特例退職の「確実なリターン」である人間ドックの補助(単身4万、夫婦8万)を差し引いても、まだ単身で約34万円、夫婦で約23万円もの差額(特退の割高分)が残ります。

この残りの差額を、特例退職の最大のウリである「付加給付(月額上限2.5万円)」で回収できるかどうかが最後の論点になります。 国保の高額療養費(上限約8.5万円)と特退の付加給付の差は、1ヶ月あたり約6万円です。

つまり、単身で34万円の差額を埋めるには年間で約6ヶ月、夫婦で23万円の差額を埋めるには夫婦でのべ約4ヶ月も、毎月のように高額な治療を受け続けなければなりません。 冷静に考えて、これほど長期にわたって高額療養費上限に張り付くような事態は稀であり、「保険料の元を取る」のはほぼ不可能です。

結論は明確です。 「基本的には国保への切り替えが最も合理的」です。

特例退職を継続すべきなのは、「民間の医療保険に一切入っておらず、かつ夫婦どちらも健康に強い不安を抱えている」といった、極めて限定的なケースに限られると考えています。

「会社の制度だからお得なはず」という思考停止に陥らず、自分の数字で損益分岐点をシミュレーションすることが、老後の資産防衛の第一歩ですね!

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